車で回るセントマイケルズ・レイライン(12)眠れなかった夜

今回はバースの宿でおきたことを書いておこうと思います。この日は「町の中心からは少し離れても、車が停められて、翌朝もすぐ次の目的地に向かうことができる場所に泊まろう」と思い、車で10分ほどの距離にあるビクトリアン・スタイルのB&Bでプライベートバス付きの部屋を予約していました。ネットでは、4星がついていて、部屋の写真をみても清潔そうだし、宿泊した客の評価も高く、WiFiや朝食は無料。特に朝食は食べ応えがあると好評でした。

当日、無事チェックインをすませて入った部屋は、ネットの写真でみたとおりで、一見問題はなかったのですが、外で夕食を食べて戻り、シャワーも浴びて、ベッドの中で明日のリサーチをしていた時のことです。なんだか火照った感じで手足がムズムズするのです。自分の手を見ると全体に赤くむくんだ感じだったので、最初はじんましんかと思いました。夕食で食べた何かに体が反応したのかと思ったのです。最近はなくなりましたが、学生時代はランチ後にじんましんが出て授業を早退したこともあります。まだベッドには入らずデスクで作業していた主人に顔や首に発疹がないか見てもらいましたが、それはありません。でもやっぱり変なので、ベッドをまくって足を見てもらっている時に、わかりました。じんましんではなくベッドバグ(ナンキン虫)です。局所的に集中した痒みを感じなかったので気づきませんでしたが、何ヶ所か刺された場所があり、蚊に刺された時のようにうっすらと血がにじんでいます。おもわずベッドから飛びおりました。私は昔から肌が弱く、虫にも刺されやすい体質で、これまでにスペインの巡礼中やトランジション中に泊まった田舎のモーテルなどでこれにやられて、たいへんな思いをしています。近年は世界的に蔓延しているので、特に古い宿などに泊まる時には季節にかかわらず虫除けを持参し、寝る前にベッド周りにスプレーするのですが、今回の旅では油断してノーマークでした。

すぐに宿の人に伝えると、彼らも「そんなことは初めて」と驚いて、部屋を替えてくれました。すっかり寝る準備が整っていたのに、夜遅くになってまたパッキングし、下の階へ移動です。前の部屋よりかなりグレードアップされ、ホテル内で一番広いと思われるいい部屋でしたが、一度こういう目にあうと、なかなか素直にベッドに入る気にはなれません。もう一度シャワーを浴び、真っ白いシーツや枕の下などをすみずみまで調べ、何もいないことを確認し、首までカバーする長袖の服で肌を守り、ようやく横になりましたが、1日歩き回って疲れているのに、全く気の休まらない一夜を過ごしました。

宿のスタッフはいい人で、何か他にできることはないかと気を使ってくれましたが、短時間だったのに刺された場所は手足あわせて10ヶ所ほどもあり、それから数日間は痒みに悩まされました。着ていた服も、虫が潜んでいるとイヤなので洗いたかったのですが、毎日の移動でその時間がないため、ビニール袋に密閉し他の荷物と隔離して持ち帰ることになり、残りの期間は寝巻きを使えなくなりました。
宿の朝食は、オプションにエッグベネディクトもあり、たしかに美味しかったのですが、できるだけ早く出発したいばかりで、さすがにこの宿には二度と泊まる気にはなれません。