エフィジー好きには必見のサーペント・マウンド〜全長400mの巨大なヘビが地を這う


米国のマウンドのなかでも特にユニークなものが、オハイオ州アダムス郡にある「サーペント・マウンド」(Serpent Mound)です。“サーベント”は英語で“蛇”を意味し、このマウンドはその名のごとく、巨大な蛇がクネクネと地を這っているような形をしています。

古代遺跡で蛇といえば、メキシコのククルカンやケッツェルコアトルなど「羽毛のある蛇」が有名ですが、ガラガラヘビは、西暦700〜1500年頃にミシシッピ周辺でマウンドを作っていたネイティブ・アメリカンの「ミシシッピ文化」でも重要なシンボルの一つとなっています。

サーペントマウンドの全体図

「サーペント・マウンド」の蛇は、先端が楕円形になっていて、これが何なのかについては、たまご、目、太陽、はたまた「リンゴを口にくわえたエデンの園の蛇にちがいない」など、様々な推測がなされています。尻尾のとぐろは完璧な3重の渦巻き状です。このように何かの形を現したマウンドは形象墳(エフィジー、effigy)と呼ばれますが、「サーペント・マウンド」は頭から尻尾までの全長が約404m、盛り土の高さは1~1.5mもあり、世界最大のエフィジーといわれています。土を盛り上げただけでなく、中に石を詰めて補強されています。人が埋葬されていましたが、それよりはるか以前からこの周辺は先住民にとって重要な場所であったと考えられています。1990年代の放射性炭素年代測定法では、作られたのは1070年前後と推定されていたものの、2014年の新たな調査では紀元前321年頃と1000年以上も修正されました。日本でいうと、ちょうど縄文から弥生への移行期あたりでしょうか。この近くには、紀元前1000年~西暦100年頃にオハイオ周辺で繁栄し多くのエフィジーを使っていた「アデナ文化」時代のマウンドが他にもいくつかあります。さらに、近くには約3億年前に隕石の衝突などでできたと見られる4マイルの巨大なクレーターがあります。

長い長いイロコイ族の口承史を書き記したポーラ・アンダーウッドの著書「一万年の旅路」(The Walking People)には、数千年前に彼女の祖先がサーペント・マウンドを作った人々に出会った時についての興味深い記述があります。その部族の人々は、風変わりな髪型をし、それぞれいろいろな形の円盤を首からぶら下げ、それが時折太陽のように輝いたため、イロコイ族は彼らを「太陽の民」と呼ぶことにしました。太陽の民は、自分たちのことを「ものを築くことを専門にしている」と説明し、「長い年月がかかる大仕事にとりかかるので、食料や衣類などと引き換えに労働力を提供してくれないか」と要請してきたそうです。当時イロコイ族は特に生活に困ってはいませんでしたが「他部族から新しいことを学ぶいい機会かもしれない」と考え、結果的に9年間にわたってマウンドを作るための石や土を川から運ぶたいへんな作業を手伝いました。ただ、その間もこのプロジェクトの目的や何を作っているかなど詳しいことは一切明かされず、マウンド自体も葦で編んだ目隠しで覆われ、全ては超秘密裏に行われていたそうです。好奇心を抑えきれなかったイロコイ族の一人がある晩こっそり現場にいき、手や足でマウンドの形を確認して、初めて巨大なヘビだということがわかったというのです。イロコイ族にとって蛇は価値のあるものではなく、もはや学ぶべきことはないと判断してこの地を離れたため、完成までにさらにどれくらいの時間を要したのかなど詳しいことは書かれていません。太陽の民が語った自らの部族の歴史は「太古の昔は大海に包まれた島(地中海のサントリン島?)に住んでいたが、火山の大噴火による島の沈没が予知されたため、苦労して大西洋を渡り、中米(ユカタン半島?)にたどり着いた。そこでは大きな石を使って巨大な建造物や星を見る場所など(マヤ文明?)を作ったが、この辺にはそういう石がないので今は土で建造物を作っている」といった内容だったそうです。やはりこの蛇はメキシコのククルカンと非常に深い関係性がありそうですね。

サイトの入り口です。ミュージアムやギフトショップは営業時間がありますが、マウンドそのものは、日の出から日没まで見ることができます。サイトに行く時間帯は、日差しや影の出方の関係から蛇の形がより見やすい朝がおすすめ。

 


オブザベーション・デッキが設置されていますが、上からでも見えるのは一部です。

春分/秋分の日の日の出と書かれた表示多くのマウンドと同様に、方角を強く意識して作られています。例えば、頭は夏至の日没方向、尻尾は冬至の日昇方向を指していて、蛇のくねくね部分の各カーブにも方角的な意味があり、それぞれの場所に写真のような表示があります。

 

サーペントマウンド

 

周囲を歩いて回ると大きさが実感できます。個人的にも、非常に強いパワーを感じた場所でした。

 

 


サーペント・マウンド(赤マーカー)
場所:3850 OH-73, Peebles, OH 45660

*車で1時間以内のところには、セイップ・マウンド(Seip Mound)やホープウェル・マウンド(Hopewell Mound)などもあります。地図では黄色のマーカーで表示しました。

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