車で回るセントマイケルズ・レイライン(7)石にも触れる英国最大のストーンサークル「エーヴベリー」


イギリスのストーン・サークルといえば「ストーンヘンジ」が世界的に有名ですが、それよりはるかに規模が大きいのが北ウィルトシャーにある「エーヴベリー」(Avebury)です。紀元前2600年頃、つまり今から4600年以上前に築かれたといわれています。日本でいえば縄文中期。ストーンヘンジと並んでユネスコの世界遺産ですが、ストーンヘンジは約27km南にありセント・マイケルズ・レイラインから少しずれているのに対し、エーヴベリーはまさにレイライン上にあります。

専用の駐車場からは歩いて5分ほど。遺跡の入場は無料で、私たちが行った時は、冬季だったためか、駐車場代さえ無料でした。車で入った方向とは逆側から駐車場を出て奥の小道を抜けると、もうそこには広大なスケールの遺跡が広がっています。

エイブベリー

遺跡の中心となっているヘンジの直径は約420mで、なかも自由に歩き回ることができ、ロープが張られて石のそばには近づけないストーンヘンジと違って、よじのぼったり傷付けたりしない限りは、石に触ることもOKなのです。石は、ストーンヘンジの環状に並んだ巨石と同じサーセン石が、手を加えず天然のままの状態で使われています。

これは現地の案内板を撮影したものですが、このようにエーヴベリー自体は2つのサークルとそれを囲む大きなサークルの3つの円でできています。石は大きなサークルの周りのお堀沿いに並んでいたほか、小さな2つのサークルを作っていた訳ですが、今はかなり失われています。

さらに、近くには、シルベリー・ヒル(徒歩25分)、ウエスト・ケネット・ロング・バロー(同35分)、サンクチュアリー(同45分)といった新石器時代の遺跡がいくつかあり、全部あわせて世界遺産です(登録面積約22.5平方km)。全体が一つの広大な聖地として機能していたようで、考古学者のウィリアム・スチュークリなどは、ここが古代神殿だったと考えています。現在もここを聖域と考えている人は多く、例えばドルイド教徒は祖先と交流する「生きた神殿」として夏至などに独特の儀式を行っているようです。いずれにしてもイギリス最大級のパワースポットの一つで、実際とてもいい気が流れていて、気持ちのいい空間でした。

この写真は一番大きなサークルの南端中央あたりの土手で北西方面をみたところ。真ん中にみえる大きな2つの石と左側がお堀沿いに並ぶ石、右側の白っぽい石たちは2つある小さなサークルのうち南側のサークルの一部です。外側のサークルは英国最大のストーンサークルで、もともとは98の石が並んでいました。なかには40トンを超える巨石もあります。

北側の外堀沿いの石。全体的に残っている石は西側で、東半分はまばらです。この場所が作られた目的は、儀式や祭典用、カレンダーなどなど諸説ありますが、正確なところは不明。

いろいろな大きさや形の石が使われています。これは北側の小さなサークルの一部と思われますが、残りの石はほとんど残っていません。

エーヴベリーの中にあるイングリッシュ・ガーデンが素敵なお店。巨石が村を取り囲んでいる形ですが、明らかに石が先にあった訳で、今は大きなサークルの中央を車道が横切り、南北にも車が走り抜けています。

一番大きなサークルの外側のお堀はかなり広くて深い(幅21m、水深11m)けれど、お城の外掘りのように防衛目的で作られたものではありません。古代の遺跡には、用途はわかりませんが、生活用水ではない水を満たす場所がよくみられます。

エーヴベリーの南1kmほどにある高さ37mの人工の丘シルベリー・ヒル(Silbury Hill)です。形が綺麗ですね。ここは道路から見るだけで登るのは不可。有史以前の欧州で最も高い人工の円錐形丘といわれ、紀元前2700年頃に作られたとみられています。日本でいえば古墳でしょうが、これはお墓ではなく、私たちが米国でさんざん見てきた「マウンド」と呼ばれる先住民やそれ以前の人々が残した遺跡にそっくりです。この辺はミステリー・サークルもよくみつかるところで、太古の時代からなんらかの理由で選ばれてきた特別な場所なのだと推測されます。

一方、埋葬墓ウエスト・ケネット・ロング・バロー(West Kennet Long Barrow)は、シルベリー・ヒルから道を挟んだ丘の上に立っていて、そばまでいくことができます。

車でいく場合はシルベリーヒルの近くにある道路脇の入口周辺に車を停め、こういう道を15分ほど歩くと、見えてきます。

 

 

巨石で組み上げられたバロー(長墳)の端には石室があり中に入ることも可能。ここはさらに古く紀元前3500年から紀元前2000年頃に使われていたようです。

 

 

 

中に入って外側を見たところ。中はそれほど広くはありません。細長い通路を進むとすぐに向こう側の壁に突き当たる感じです。

 

12月のイギリスは4時すぎには暗くなるので、そのつもりで1日のスケジュールを組まないと、残念な思いをすることになります。この日はかなり急ぎ足ながら無事に全ての予定をクリアできましたが、バローを見て車に戻った時にはすっかり日が暮れていました。時間の余裕があれば、丸1日費やしてじっくり自分の足で一帯を歩くと、古代の人々が設計したこの巨大モニュメントのスケール感がより理解できるだろうと思います。


Avebury: AONB Avebury, Marlborough SN8 1RF

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